新潟市をモデルにした架空の地「辺境特区9号」。
日常の事象を着想源に、そこに棲む多様な怪獣たちの成長を慈しみと共に描き出します。
怪獣という異形の存在を媒介に、人間の無意識と社会構造を照射する柄沢の想像力が、現実と幻想の狭間に独自の風景を拓く第4回BBAA2025大賞展。
その咆哮をご体験いただければ幸いです。
●2Fメインギャラリー
●入場料:無料
事前予約可 事前予約でごゆっくりとご高覧ください
(ご予約なしでもご覧いただけます)
私は生まれ育った新潟市東区の外れをモデルとした架空の禁足地「辺境特区9号」で、そこに生息する多種多様な怪獣たちの成長を観察し描き続けています。
日常に稀に表れる遠雷の轟き、深夜の静寂、そして時に目に映る奇妙で言いようのない事象の数々が、
私の作品世界に潜む有機的な生命体たちをはぐくむインスピレーションの源であり、
辺境特区9号とは、新潟市の区が8つある中で、9番目に位置する怪獣たちに遭遇できる特殊な環境なのです。
私の作品は、描くというよりは「育てる」感覚に近く私自身がその変化を見届けたいという強い願いがあります。
それはまるで特撮やSFの作品を生み出すような感覚なのです。
墨と鉛筆が生み出す線の力強さと濃淡、そして独特の形態を持つ怪獣たちは、まさにこの背みから生まれた生命体です。
鑑賞者の皆様には、作品が持つ具体的な重さ、大きさ、硬さを意識しながら、
それぞれの視点と感性で自由に想像し、空想し、
時には妄想を巡らせてこの異形の生命体たちが織りなす世界を存分に楽しんでいただきたく、
また本展示を通じて、辺境特区9号の怪獣たちが皆さまの心に深く刻まれることを願っております。
柄沢恭治 Takaharu KARASAWA