過去の展示

月乃カエル 個展

  • 〜LAYERED POP ART〜
  • 《記憶のおもちゃ箱》

    2022.11.16(水) ▷ 2023.1.29(日)

    ※年末年始休暇:12月26日〜1月6日

    「それでも世界は美しい」
    月乃カエル


    透明樹脂を中心に様々な素材を用いて構成し、多彩なミクストメディア作品を生み出し続けている現代アート作家、月乃カエル。
    バラバラの素材たちが彼の手によって個々に魅力を発揮し、独特の世界を織り成すその様は、見る者を世界の多様性と異文化が融合された情景へと誘います。

    近年、台湾や中国など海外でも活動の場を広げ評価を高めている月乃カエル。今回は彼が育った地元八王子、 学生の頃に毎日の様に通った通学路に奇しくもできたアートギャラリーでの開催でもあり、時間を超えた想いのこもった個展です。

    今回の個展への想い

    月乃カエル


    記憶のおもちゃ箱

    高校の頃、八王子の西側に住んでいた私は、
    八王子の東側にある高校にママチャリで通っていた。

    一年のときにクラスメイトに誘われて入った美術部には、
    卒業まで、ほとんど顔を出すことはなかった。

    小さい頃から絵を褒められるのが嬉しくて絵が好きになった。
    でも、年を経ると「褒められる」ことよりも、
    成績のほうが価値が高く思うようになっていく。

    美術部に入ったものの美術の知識や技術に長けた同級生の中で、
    なんとなく気後れして、自分にはそれほど才能がないのかも、
    と、思っていた。

    一度だけ、美術の授業で鉛筆で静物画を描いたときに、
    いつもならそこでやめてしまうような完成度から、
    更に描き込んでみたところ、先生に高く評価してもらった。
    いつも諦めてしまうところの更に先に、
    それまで自分がつかめなかったものがあるのかも知れない、
    と、おぼろげながら感じていた。

    結局、美術と関わったのはそこまでで、
    大学を卒業して会社員となり、なんとなく出世して、
    中間管理職になって、40代なかばで体調を崩し半年間休職する。

    かねてから時間ができたら絵を描きたいと思っていたので、
    ケント紙とペンを買って、描き始めた。
    体調を崩していたこともあり、
    幼少からの自分の好きなものを描いていこうと、
    記憶の中のおもちゃ箱をひっくり返してみた。
    そして、できたのが「カエル工場」の絵だった。

    40年以上前の自分に会えたら、伝えたい。

    君がママチャリで通っていた通りに、
    将来現代アートギャラリーができて、
    いま諦めている絵を描くことが、
    君を救ってくれるんだよ。

    でも、高校生の僕は、「なにそれ」と言って、
    ママチャリを加速させていくだろう。

    月乃カエル

    今回のテーマ「記憶のおもちゃ箱」は月乃カエルが幼少の頃より心に抱き続ける大切な感情から紡ぎ出した表現を中心に最新作から自信作まで一同に揃いました。
    第1回 BrainBrunn ART AWARD2022《Brunn大賞》受賞作家、月乃カエルの展示会にどうぞご期待ください。

    ●2Fメインギャラリー
    ●入場料:無料
    事前予約制 ご予約のお客様を優先的にご案内させて頂いております。

    ※作品の新作追加、交換がある場合があります。ご了承ください。

    ※文章は開催時原文のまま